高知県において、2025年度の小学校教員採用試験では、合格者280人のうち約7割にあたる204人が辞退しました。鳥取県でも、2024年度の教員採用試験で合格した327人のうち、半数を超える174人が辞退しています。こういった記事を読んで、幼稚園教諭や保育士ではどうなのだろうと思い調べてみました。
まず、離職率から調べてみました。保育士全体の離職率は9.3%で、日本の平均離職率15.0%と比較すると低い数値です。ですが、私立保育園に限ると離職率は少し10.7%と高くなっています。幼稚園教諭の離職率は10.6%で、保育士と同程度だといいます。この数字だけ見ると、幼稚園教諭・保育士は、それほど悪い職業ではないのかもしれません。辞退や離職の原因を調べてみると、私立保育園では、給与が低いことが辞退や離職の大きな要因となっているようです。また、長時間労働や過重な業務負担が、職員の負担を増大させていることも大きいようです。そして、職場内や保護者との人間関係のトラブルも、辞退や離職の原因のうちの一つとされています。
他にもあれこれ調べてみました。静岡県掛川市の保育園では、保育士の半数以上が一斉に退職する事態が発生しました。これは今年の3月のニュースで、記憶に新しいですね。18人の保育士のうち11人が退職するという恐ろしい事態でした。保育施設向けICTシステムを提供するコドモンの調査によれば、約55%の施設が「採用がしにくくなってきている」と回答しています。さらに、69.2%の施設が直近3年以内に「保育士採用でうまくいかなかったケースがある」と報告しているようです。これらの背景には、少子化や働き方改革による労働環境の変化、給与や待遇面での不満、人間関係の問題などが指摘されています。特に、保育士や幼稚園教諭の離職理由として「人間関係」や「給与の低さ」が挙げられています。
ちょっと海外にも目を向けてみました。ヨーロッパ各国における幼稚園教諭や保育士の離職率や採用辞退の状況は、国や地域によって異なりますが、いくつか共通課題があるようです。1つ目は、労働環境と待遇。多くの国で、保育従事者は低賃金や過重労働に直面しています。例えば、イギリスでは保育士の給与が他の職種と比較して低く、離職率の高さが問題となっています。また、ドイツでも保育士の人手不足が深刻で、労働条件の改善が求められています。2つ目は、人材不足と採用の難しさです。フランスやスペインなどでは、保育士の不足が深刻化しており、採用試験に合格しても他の職種への転職を選ぶ人が増えているようです。日本と似ていますね。アメリカでは、保育士の離職率が高いようです。全米幼児教育協会(NAEYC)の2004年のデータによれば、保育士の平均離職率は30%以上とされています。この高い離職率の背景には、低賃金や労働環境の厳しさが影響していると考えられているようです。他の国々でも、幼児教育・保育従事者の離職率や採用辞退の問題が指摘されています。例えば、OECDが実施した国際幼児教育・保育従事者調査(2018年)では、各国の保育者が労働環境や待遇に課題を感じていることが示されています。
以上より、多くの国で、幼児教育・保育従事者は以下のような課題に直面していると考えました。
- 低賃金: 他の職種と比較して給与水準が低いことが、離職や採用辞退の要因となっています。
- 労働環境の厳しさ: 長時間労働や業務負担の重さが、職員の負担を増大させているのだろう。
- 社会的評価の低さ: 職業としての社会的評価が低いと感じることが、モチベーションの低下につながっているのでは?
このようにみていくと、安定して幼稚園教諭・保育士を確保することがとても大変なことで、世界のどこをみても優れた解決策がないと分かりました。私的には、職員室が全職員にとって「共感できる居場所」になることが理想かなと思っています。嫌なことがあっても、辛いことがあっても、失敗しても、職員室でスッキリできる。嬉しいことがあったり、楽しいことがあったら、職員室で喜びが倍増する。いろんな障害から守ってもらえるというのもいいですね。どういう風にすれば、そんなことができるのか。それは分かりません。でも、職員室がそんな場所だったらいいなと思います。給与や労働条件といった外的な要因の改善も重要ですが、職場内の心理的な安心感や人間関係の質を高めることが、現場で働く人々のモチベーション維持や離職防止に大きく寄与するのではないかと感じています。




コメント