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心の視力を高める

Life

日本の某所。何かと不満な男がいました。名前はナニガシとしておきましょう。彼はいつも不平不満ばかり言っていました。

「この家、まじで狭すぎ! もっと広い家に住みたいな」
「このパン、くそまず! 安いしこんなもんか。もっと美味しいものが食いて~」
「あのおっさん、なんであんなにおっさんがポルシェなん」

口を開けば文句ばかり。ある日、ナニガシは街で、不思議な老人に出会いました。老人は彼の愚痴を聞くと、にっこり笑ってこう言いました。

「坊主よ、お前は曇ったレンズで世界を見ておる。これを使ってみるのじゃ」

そう言って、老人は小さな丸い石を彼に渡しました。それは、どこにでもあるような、ただの石にしか見えません。

「これ何なん? こんな石、どうすんの」

彼が不満げに言うと、老人は穏やかに答えました。

「その石を手のひらにのせ、まずは目を閉じて――
今、持っているものの中で、たった一つでいい。心から感謝してみなさい。
それから、目を開けて石越しに世界を見てごらん」

彼は半信半疑のまま家に帰り、言われた通りにしてみました。
まず、感謝してみたのは、自分の小さな家。

「まあ、狭いけれど、雨風はしのげるし、寝る場所もある。……ありがたいかもしれない」

彼は石を手のひらにのせて目を開き、石越しに家を見てみました。
すると… … 壁のシミは消え、ひび割れは目立たなくなり、家全体がやわらかな光を放っているように見えたのです。これは面白い。そう思い、次に彼は、朝食の安かった菓子パンに感謝してみました。

「あまりおいしくはないけれど、これで今日もがんばれたんだ……ありがたいことだな」

すると、パンの焦げ目が香ばしく、豊かな風味が口いっぱいに広がるように感じられました。

その日から、ナニガシは身の回りのさまざまなものに感謝してみるようになりました。粗末な服に感謝すると、服はやさしく体を包んでくれるように思え、歩く土の道に感謝すれば、地面がしっかりと支えてくれる安心感に満たされ、喉を潤す水に感謝すると、その一滴一滴が、体に染み渡るように感じるのでした。

翌朝、彼は目覚めてすぐ、石を手に取り、顔を洗う水に感謝しました。「この水は山から流れ、長い旅をしてここまで来たのだ。誰かが水道管をしっかり管理してくれているおかげで、私はこうして水を使えている。ありがたいことだ……」

石を通して見ると、蛇口からの水はキラキラと輝き、石清水のように見えました。

こうして、ナニガシの見る世界は一変しました。
道端の小さな花、空を流れる雲、すれ違う人々…
そのすべてに、感謝の気持ちが湧くようになったのです。

畑で働く農夫の方を見れば、「この人のおかげで、野菜が食べられる」と感謝し、
壊れた道具を直してくれる職人を見れば、「この人がいるから物を長く使える」と感謝し、
見知らぬ人と交わすあいさつさえも、その存在に感謝の念を抱くようになりました。

ナニガシの心には、感謝の気持ちが泉のように湧き出すようになりました。もう、彼は不平を言わなくなりました。自分がどれほど多くのものに支えられ、恵まれているかを、知ったからです。

不思議な石は、いつの間にか手から消えていました。けれどナニガシの心には、どんな曇りも晴らす「感謝のレンズ」が残っていて、それからは楽しい人生を送るようになったそうな。

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