2階建ての5軒で1つの町営住宅。 それが全部で20棟近くある。中央付近には公園と集会所がある。 東側には小さな山がある。 山のふもとには防空壕があって、昼でも中は暗く、奥まで進んだことはない。 誰に聞いても、奥は数体の人形があるという。 そこの人たちは何があるか知っているが、それを実際に見たという人に会ったことはない。 その防空壕の入口の横の方から、山を上がっていく道がある。 しばらく進むと左には民家があり、さらに上がっていくと、右に曲がっていく道が出てくる。 この道を少し進むと、ひび割れた黒い地面が現れる。
その地面。最初は固いのだが、ジャンプして踏んでいるうちに、下から水分が出てきて柔らかくなってくる。 次第に表面は雨の後の土壌のようになり、ポヨンポヨンになってくる。 じっとしていると地面に体は飲み込まれていき、下半身は埋まってしまう。 そうならないようにジャンプし続ける。
ぼくたちはそこをゼリーと呼んでいた。中の構造など誰も説明してくれなかったが、とても楽しい場所であった。ゼリーから帰ると、そのまま風呂に直行である。シャワーなどなかった当時、風呂で水洗いしていたことを考えると、冬にはゼリーに行っていなかったのだろうと思われる。
先日地元に帰ったが、ゼリーへの道は分かりにくく、どこをどうやって行っていたのか分からなかった。でも、それでいいし、それがいいのだろうと思った。



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